コロナ過のお供に。小説でも

おすすめの小説イメージ

このブログでは色んな本の一節だけを抜きだして、紹介する「美しくて軽快な日本語」を書いてきました。生意気にもシリーズっぽく書いてましたが、たまには小説そのものをご紹介したい。去年で消え去ったと思ってましたが、結局今年もコロナ過です。「家時間のお供にどうですか」と、そう思うわけです。小説はもっぱらキンドルで読むので、必然的にアマゾンで買います。らくちんですよね。ただ、レビュー星が四つ以上ないとどれだけタイトルやあらすじに興味があっても買えない体になってしまいました(笑)デジタル社会の弊害ここにありって感じです。特にテーマを絞らずに2冊ご紹介していきます。

シャイロックの子供たち

一冊目は安定の池井戸先生の作品。大和田常務の怪演が記憶に新しい、あの半沢直樹の作者です。

「お・し・ま・い・death!」の大和田常務

6章にわかれていて主人公がそれぞれ変わっていくタイプの小説です。銀行で現金が足りない事件が発生。、さらには実態がない企業への不正融資が発覚し、その犯人は、、、。このブログを書いている私も銀行員だったので「わかる!わかるよっ!」というシーンの連続。哀愁が半端じゃないです。最初の事件の、銀行で計算が合わないやつ。銀行はよく一円でも現金が多かったり少なかったりしたら、解明されるまで帰れないという都市伝説がありますが、マジで帰れないです。序盤の現金合わない事件、それ自体は、解決、、、したかに見えますが、そこから色んな事が発覚します。そして銀行内の人間ドラマ。ああ~~こんな感じだったなあ。登場人物がいちいち現実にいそうなんです。私のお気に入りは4章。支店でエースの清野とその同期の本郷の話。どちらも営業行員で、ガンガン実績をあげ続ける清野。しかし、同期の本郷は実績をあげられずガシガシ怒られてます。それも全員の面前で。そんな中、学生時代は応援団に所属していた本郷は、突然自分への応援歌を歌いだしたり、情緒がおかしくなっていきます。しかし、そんな本郷も営業活動が実り、ついに大口の融資先をゲットか?、、、、。からの衝撃のオチ。すごくいいオチ。そしてリアル。皆さんも裏道や筋道に詳しくなりすぎた銀行員にはお気をつけて。
ちなみに清野と本郷という名前かどうかは、僕の記憶でそうなってるだけで、たぶん違います。

ワイルド・ソウル

4年くらい前に読みました。当時衝撃を受けたのを覚えております。たしか、「面白い小説」ってグーグルに打ち込んだら出てきました。先ほど打ち込んだら違う結果になってしまったので、説得力が下がりましたが(笑)。確かに一番最初に出てきたのです。四年前は。いわゆるハードボイルド小説です。重めの内容。戦後の日本で人口が増えすぎ、ブラジルに移民させるという、実際にあった話をテーマにしています。ブラジルは肥沃な土地で作物もいっぱい採れ、楽園だという触れ込みで日本人が移民します。しかし、実際はアマゾンの奥地。作物なんか育つわけもなく、マラリアにかかったり、畑が洪水で流されたりして移住地を放棄。ブラジルでホームレスとなり、地獄を見ます。そんな中地獄を生き抜いた世代の子供たち、いわゆる日系二世がブラジルからはるばる日本の移民局に対してある計画を、、、。というお話です。どうでしょうか。読みたくなりませんか。上巻と下巻に分かれてまして、上巻はブラジルに移民した人々の地獄っぷりをこれでもかと描いてます。ちょっと最初の方だけ、根気が必要です。上巻の後半から例の計画が動きだすのですが、ここまで読んでしまったら最後、読み切るまでノンストップです。キャラクターたちも魅力的で、計画が進むにつれて、人生観が変わっていく様も最高です。特に日系2世で嫌々マフィアのボスをやっている松田というキャラクターがいるのですが、最後の展開に痺れます。こういう復讐劇って復讐する側がついついやり過ぎてしまったり、逆に返り討ちにあったりして、なかなか最後気持ちよく終われないのが世の常ですが、この本に限っては、ピタッと全てがはまります。

読みたくなりましたね?ええ、そうでしょうとも。ぜひ騙されたと思ってご一読を。それでは、また。

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